- 地上デジタル放送(地デジ)の4Kっていつから始まるの?
- 地デジを4K化するための技術って何?
地デジの4K化がいつ始まるか、時期は未定です。
地デジの4K化は2021年以降に現行の2K放送(2025年頃までは少なくとも継続)とサイマル(同時放送)で始まるとも言われています。
新4K8K衛星放送は2018年12月に開始しました。
2018年12月に開始した新4K8K衛星放送が気になる方は、次の記事をお読み下さい。
新4K衛生放送に対応するテレビは今や50型が10万円程度で購入できるようになりました。
4Kの衛星放送も気になるところですが、普段よく観るのは地上デジタル放送。
通称、地デジ。
なんで地デジの4K放送って始まらないの?
地デジの4K放送が始まらない理由は、地デジで4K放送を送受信するのが大変だから。
普段よく観る地デジが4K化になると、チューナーやテレビの買い替えが必要になったりと、影響大です。
衛星放送の4K化でもチューナーの買い替えだったり8K衛星放送を観る場合はアンテナの替えも必要でした。
また、「放送として使用できる周波数」は限られていて、地デジはUHF帯(470~770MHz帯)という周波数に割り当てられているのですが、空き周波数がほとんどないんです。
衛星放送に比べ地デジ放送は使用している帯域幅が狭く、衛星放送がおよそ40MHzに対し、地デジ放送は6MHzの周波数帯域幅。
その狭い周波数帯域の中で4Kや8K映像といった大容量データを送る必要があります。
でも技術的には地デジを4Kや8Kにするのは可能なんですよ。
現在、アンテナを工夫し、実証実験がされています。
キーとなる技術は2つ。
- 大容量伝送技術
- 映像符号化技術
アンテナによる大容量化と符号化による映像データの圧縮です。
これらを踏まえて、いつ地デジが4Kさらには8Kになるのか探ってみましょう。
今回、NHK技研公開2019で次世代地上デジタルテレビ放送のキーとなる技術を学んできたので、地デジを4Kや8Kにする技術についてご紹介します!
地デジの4K放送はいつから?
地デジの4K化はいつから始まるのか?
まず、現在地デジでは4K放送はありません。
総務省では、2014年2月から「4K・8Kロードマップに関するフォローアップ会合」を開催し、同年9月に中間報告(ロードマップ)を公表し、2015年7月には「第二次中間報告」において、ロードマップの改訂を行いました。ロードマップでは、東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される2020年に「4K・8K放送が普及し、多くの視聴者が市販のテレビで4K・8K番組を楽しんでいる」ことなどを目標としています。
総務省 | 4K放送・8K放送 情報サイトより引用
東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される2020年に「4K・8K放送が普及し、多くの視聴者が市販のテレビで4K・8K番組を楽しんでいる」、とありますが、これは『地デジ』とは明記されていないんです。『市販のテレビで』なんです。
一番下の『地デジ等』に注目してみると、現行の2K放送は2025年頃まで継続となっています。
つまり、今の地デジ放送は少なくとも2025年頃までは続くことになってるんです。
次世代地上デジタルテレビ放送ってなに?
画像出典:地上放送高度化方式の大規模野外実験-技研公開2019-
では、この地デジを4Kや8Kにするにはどうしたらいいんでしょう?
まず、地上デジタル放送。その名の通り、地上波を使ったデジタル放送です。
地上デジタルテレビ放送(ちじょうデジタルテレビほうそう、英語: Digital Terrestrial Television Broadcasting、略称:地デジ)とは、地上(陸上)のデジタル方式の無線局により行われるテレビ放送である。 ただ、実際の報道では地上デジタル放送と略されることもある。
地上デジタルテレビ放送-Wikipedia-より引用
NHKでは、地上波によるスーパーハイビジョン(8K)放送の実現に向け、地上放送高度化方式の開発と大規模野外実験による検証を進めています。
東京タワーから送信している実験電波を受信して、映像・音声を表示・再生するとともに、映像符号化技術や検証実験の内容を紹介していました。
地上デジタルテレビ放送を4Kや8Kにするためには?
画像出典:総務省|4K放送・8K放送情報サイト
現行の地上デジタルテレビ放送は『フルHD』と呼ばれていて、横×縦の画素数が1920×1080のもの。
『4K』や『8K』という言葉が登場してからは『2K』と呼ばれることが多くなりました。
- 2Kが約200万画素
- 4Kが約800万画素
- 8Kが約3300万画素
そんな2Kの地上デジタルテレビ放送を4Kや8Kにするためには、2つの技術があります。
- 大容量伝送技術
- 映像符号化技術
それぞれ見ていきましょう。
大容量伝送技術
まず前知識として、4Kや8K映像は大容量です。
大きなサイズなので、それだけデータの容量が大きくなります。
従来の2Kが15Mpbsだとしたら、4Kは40Mbps、8Kは100Mbpsくらいです。
bps(ビット・パー・セコンド)とは1秒間に転送可能なデータの量。通信回線の速度を表すときなどに使われる単位で、「kbps」であれば毎秒1000ビット、「Mbps」であれば、毎秒100万ビットを表します。
2007年頃から、地上放送の大容量化に向けた研究開発が開始され、超多値OFDMや偏波MIMO(Multiple-Input and Multiple-Output)技術検討が盛んになってきました。
通信や放送業界では大容量化技術が盛んに研究開発され、シャノン限界に挑戦しています。
シャノン限界とは、通信チャネルが持つ信号対雑音比と周波数帯域幅によって決まる,これ以上どうやってもデータ伝送速度を上げられない伝送容量の限界のこと。シャノン容量とも呼びます。
シャノン限界に近づけるためには、3つの方法があります。
- 雑音を下げる
- 送信出力を上げる
- 周波数帯域幅を広げる
雑音をなるべく理論限界まで下げつつ、送信出力を上げる。
ただ、送信出力を上げすぎると他の信号にも影響を与えてしまう。
そして、周波数帯域にも限界がある。
それぞれに制限がある中で、いかに伝送容量を上げるか、が重要です。
超多値OFDM技術
周波数利用効率を上げる。これが超多値OFDM技術。
超ですからね。超すごいんです。
なにやら難しそうなパラメータが並んでいますが、例えばキャリア変調方式に注目すると、従来変調方式が64QAM(6bit/symbol)に対し、1024QAM(10bit/symbol)にまで拡張されています。それだけ送れるデータ量が増えるんです。
多値化とは1シンボルで送られる情報を増やすこと。これをデジタル変調の多値化と呼びます。この多値化によって送られる情報量は増えます。
これが1024QAM復調器。
かっこいいけど、大きいですね!
ただし、一般的に多値化するほど、雑音に弱くなるという欠点があります。
この図はコンスタレーションマップといって、信号の振幅と位相の情報をマッピングしているんです。振幅と位相を変調し、多値化することで、伝送できる情報量を増やします。
ここでは、アナログ(連続的)なものをデジタル(離散的)なものに変えます。
量子化ともいいます。
量子化とは、アナログ信号などの連続量を整数などの離散値で近似的に表現すること。 自然界に存在する情報をコンピュータで処理・保存できるようにデジタルデータに置き換える際に行われます。 音や光、電気の流れなどは連続的に変化するため、そのままの形ではコンピュータで扱うことができないんです。
米粒みたいな点、これらがデジタル信号。
雑音が増えて隣り合う粒が重なってしまうとそれは信号誤り(BER:ビットエラーレート)となります。
BERが増えると映像にブロックノイズが発生したり、しまいにはブラックアウトして映像が表示されなくなります。
そこで、誤り訂正符号技術というものがあって、ビット誤りを訂正します。
現行地上デジタル放送が畳み込み符号、RS(Reed-Solomon:リード・ソロモン)符号に対し、LDPC(low-density parity-check:低密度パリティ検査)符号、BCH符号になっています。
特にLDPC符号は、シャノン限界に近い誤り訂正能力を持ち、かつ並列処理により複合処理の高速化が可能という点が注目されていて、近年の第5世代移動通信システム(5G)にも実装されています。
偏波MIMO技術
複数の経路を用意する。
これがMIMO(multiple-input and multiple-output:マイモ)技術。
多入力多出力技術です。
一般的には既に無線ルーターなどで実用化されている無線技術ですが、複数のアンテナを用いることで理論的にアンテナの数だけ大容量化することが出来ます。
電波には「水平偏波」と「垂直偏波」がありますが、地デジでは通常1つの偏波だけを使っています。
これを2つの偏波を使うことで単純に2倍の容量になります。
この方式の場合、2つの偏波を受信するために、受信アンテナを変える必要があるんです。
地上放送高度化方式は、1つのチャンネル帯域(6MHz)で固定受信用のスーパーハイビジョン放送と移動受信用のハイビジョン放送を同時に提供することを目指して開発しているそうです。
東京地区では都市部での受信特性の評価やスーパーハイビジョン伝送実験を行っているんですって!
8K映像が地デジで観れるようになる日が楽しみですね♪
次世代映像符号化技術
次は、次世代映像符号化技術をご紹介します。
映像符号化技術
符号化が難しい映像において、画質劣化につながる成分を映像符号化の前段で適応的に取り除き、劣化を抑制することで符号化画質を改善!
一般的な映像圧縮は画像を複数のブロックに分割し、各ブロック内の被写体の動きを予測して、その差分を利用することで情報量を低減しています。
この際、広い範囲で動きの少ない領域は大きいブロックに、細かい動きのある領域は小さいブロックに分割し、それぞれの動き情報を計算しているんです。
この手法だとブロックの分割数が増えるほど、伝送する動き情報の量が多くなるという課題があります。
そこで、分割数の多くなる対象ブロック内の動き情報をその周囲に隣接したブロックの情報を用いて受信側で計算する。
これにより、情報量を減らすことが可能になります。
でも、映像は圧縮すればするほど、粗くなるんでしょ?
8Kの映像を符号化(ざっくりと言うと圧縮)する上で、動きの激しかったり、白色の映像は難しいそうです。
8Kの非圧縮の生データは144Gbpsほどですが、それを28Mbpsまで圧縮する技術は凄いです!
次世代映像符号化方式VCC
地上放送高度化に向けた高効率映像符号化技術。
次世代地上放送の実現に向けて、新4K8K衛星放送で使用されている映像符号化方式HEVCを上回る高効率で高圧縮可能な映像符号化技術です。
現在、国際標準化が進められているのが、次世代映像符号化方式VVC(Versatile Video Coding)。
HEVCに比べ30%〜50%の符号化効率改善を目標として、国際標準化が進められているんだそうです。
現在の8K衛星放送が100Mbps程度なので、最大50Mbps程度まで映像劣化が少なく圧縮が可能になるんだとか。
地デジ4K放送の要求条件は?
地デジを4K化する上での要求条件として、総務省の情報通信審議会 情報通信技術分科会 放送システム委員会 地上デジタル放送方式高度化作業班で議論されていて、下記が挙げられています。
地上デジタルテレビジョン方式、超高精細度テレビジョン放送係る衛星デジタル放送方式及び超高精細度テレビジョン放送システム等の高画質化に係る技術的条件を踏まえることとし、技術的に同一のものとすることが適当な場合については、その内容を準用すること。
将来の技術動向を考慮し、実現可能な技術を採用するとともに、拡張性を有する方式とすること。
超高精細度テレビジョン放送の高画質サービス、多機能及び多様で柔軟なサービスを実現できること。
他のデジタル放送メディアとの整合性を確保するとともに、通信との連携による新たなサービスにも対応できること。
総務省-放送システム委員会 地上デジタル放送方式高度化作業班より引用
なお、地上デジタルテレビジョン放送の高度化方式の導入にあたっては、その導入方策の在り方について、受信者に対して過度な負担が生じないよう、慎重に検討することが必要である。
なにやら難しそうなことが列挙されていますが、簡単には下記3点です。
- これまでの提供方式になるべく準拠するべし!
- 今後将来のために、拡張性をもたせるべし!
- ただし、アンテナを変更するとか、視聴者にあまり影響を与えちゃダメよ!
まだまだ課題は山積みですね;
地デジ4K放送はいつから?のまとめ
地デジの4Kや8K化はいつからでしょうか?
答えは『未定』です。2021年以降と言われています。
総務省のロードマップでは少なくとも2025年頃までは地デジの2K放送は続いていく予定です。
ただし、地デジの4K8K化は技術的には可能です。
標準化の動向や4K8K機器の値段。気になります。
新4K8K衛星放送対応テレビ、各メーカーから出揃ってきました♪
4Kテレビはだいたい、10~20万円です。
1位 AQUOS 4K 4T-C50DN2(シャープ)
2位 AQUOS 4K 4T-C42DJ1(シャープ)
3位 AQUOS 4K 4T-C43DN2(シャープ)
4位 AQUOS 4K 4T-C50DL1(シャープ)
5位 BRAVIA KJ-49X9500H(ソニー)
6位 BRAVIA KJ-43X8000H(ソニー)
7位 BRAVIA KJ-49X8500H(ソニー)
8位 VIERA TH-40JX750(パナソニック)
9位 VIERA TH-49JX850(パナソニック)
10位 REGZA 43M540X(TVS REGZA)
今売れてる4Kチューナー搭載テレビTOP10、AQUOSがTOP4独占、シャープ好調続くより
売れ筋はシャープのAQUOS。
2020年モデルが少し値崩れして43型~50型の4Kテレビ(チューナー込)が10万円くらいでお買い得です。
ソニーのBRAVIAも好調ですね。
わが家では思い切って75型のブラビア液晶テレビを購入しちゃいました^^
各メーカー、スマートスピーカー対応だったり、Androidベースのテレビになっていてスマホ連携も便利になっています。
8Kテレビも出始めの頃は50万円以上しましたが、2020年に入って20万円程度になってきました。
4K8K放送について知りたい方は、ぜひ、こちらの記事もお読み下さい。
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