「未来のインターネットはどうなるの?」
令和初のInterop2019。
最新のインターネットテクノロジーを学ぶべくInterop2019に行ってみました。
開催期間は2019年6月12日(水)〜14日(金)。
会場は幕張メッセ(国際展示場/国際会議場)。
Interop Tokyoと同時に4つの展示会が併催されています。
- Connected media TOKYO
- DSJ(デジタルサイネージジャパン)
- Location Business Japan
- APPS JAPAN(アプリジャパン)
隣でAWS Summitも併催されていました。
今年でInteropは26年目だそうです。
今回、Interop2019の基調講演を聴いて『未来のインターネット』について学んできたので、ご紹介します。
Interop Tokyo2019とは
Interopとは展示会イベントです。参加者14万人規模のビッグイベントです。
ちなみに、平成最後のコミケの来場者数は冬コミ史上最多となる57万人だったそうです。コミケおそるべし!!
Interop Tokyoはインターネットテクノロジーの国内最大級のイベントです。1994年の日本初開催以来、国内外から500社を超える企業・団体が参加し、 技術動向とビジネス活用のトレンドを会場でのデモンストレーションや セッションを通じてお伝えします。Interop Tokyo実行委員会より引用
キーワードはインターネット文明開化
私達はインターネット文明における新たな10年、20年先を見据えた「新しいインターネット」「新しいテクノロジー」「新しい市場」に関する議論を継続していく必要があります。この様な思いを込めて今年は「インターネット文明開化」をスローガンに開催します。Interop Tokyo実行委員会より引用
開会式では令和初とあって、こんなセレモニーをしていました。各イベントの実行委員長からご挨拶がありました。
SNSで拡散許可でてたので、開会式の様子紹介です♪
Interop2019基調講演 『Beyond the Internet』を聴いてきた
Interop2019基調講演、『Beyond the Internet』を聴いてみました。
Beyond the Internet?インターネットのその先ってこと?
ご講演発表者はNTTの代表取締役社長 澤田 純氏。
日本をはじめ世界各国では、社会のデジタル化により社会的課題の解決をめざす「Society 5.0」や国連が提唱する「SDGs」の実現に向けた取組みが進行しています。そのような中、NTTグループはパートナーとともに先進的な技術や様々なデータを活用した新たな価値創造により社会的課題を解決する、Smart Worldの実現をめざしています。本講演では、これらの取組みをラスベガス市の事例などを交えてご紹介します。また、Smart Worldの実現を支える今後のネットワークや情報基盤についての方向性もご紹介します。Interop Tokyo 2019講演一覧より引用
朝一番の講演でしたが立ち見が出るほど盛況でした!
Smart Worldとは?
講演の中では、ラスベガス市やトヨタ自動車とのコラボレーションが紹介されてました。
ラスベガス市では、Safety Solution。
設計とデータ解析を駆使し、逆走車の検知など『スマートシティ』を実現していました。
トヨタでは、Smart Mobility。
今話題の『コネクテッドカー』について、5G技術やエッジコンピューティグを駆使し、500万台の走行を想定したビッグデータの解析の基盤技術を作り上げていました。
B2B2Xモデル?
NTTではB2B2Xモデルを推進しているそうです。
メインプレーヤーはセンターB、すなわちB2B2Xの真中のBとなるサービス提供者であり、新サービスやユーザーエクスペリエンスの進化、社会的課題の解決を最終ユーザーにもたらします。
NTTグループがAI、IoT、VR、AR、セキュリティなどをパートナーとともに提供しサポートする役割を果たしていくモデルです。
ラスベガス市とは、NTT側がデータを保有せず、『ラスベガス市のもの』という形で提携しているそうです。
Smart Worldを実現するためには?
Smart Worldを実現するためには・・・
- 高精度な位置・時刻情報の取得
- 膨大なデータを使いやすいデータにする
これらを的確に・適切に行う必要があるそうな。
持続可能な成長に向けた課題とは?
ここで、持続可能な成長に向けていくつかの課題を挙げていました。
GDPの低迷
GDPの推移として、日本はしばらく横ばいになっています。
経済規模を示すGDPは、「GDP=人間の数(つまり人口)×1人当たりの生産性」という式で表すことができます。
日本は先進国最低、世界第28位の生産性です。
それはなぜか?
日本が、「Low road capitalism」だからです。
日本は、「High road capitalism」を目指すべきだ、というのが以下の記事。
簡単に言うと「High road capitalism」は高生産性・高所得の経済モデル。
「Low road capitalism」は1990年代以降、日本が実行してきた戦略。
いわゆる価格競争です。ハンバーガーが65円時代もありましたね。
これまで、日本では規制緩和によって労働者の給料を下げ、下がった人件費分を使って強烈な価格競争を繰り広げてきました。
どんどん人口減が進んでいる日本ではこの戦略ではとても厳しい状況です。
そこで、「High road capitalism」です。
最も安いものではなく、ベストなものを作る。そのスタンスの裏には、顧客は自分のニーズにより合っているものに、プレミアムな価格を払ってくれるという信条が存在します。
「High road capitalism」を志向している企業は、商品をいかに安く作るかよりも、作るものの品質や価値により重きを置く戦略をとります。他社の商品にはない差別化要素であったり、機能面の優位性であったり、とりわけ、いかに効率よく付加価値を創出できるか、これを追求するのが経営の基本になります。
今後、人口減の日本を立て直していくためには、「Low road capitalism」から「High road capitalism」へ。
『薄利多売戦略』から『付加価値創出戦略』です。
大体の企業を見ていると、今このような流れにしていこうという気概を感じます。
差別化、付加価値ってとても大切。
ちょっと脱線しますが、ユニクロやニトリも一昔前までは、値段重視のように感じていましたが、今は『機能性』という付加価値を持たせています。
お値段以上ニトリってね♪
データ量増加・技術的進化の停滞
画像出典:42 Years of Microprocessor Trend Data
データ量は年々増加しています。
2010年から2025年の15年でデータ量は約90倍。世の中でやり取りされるデータ量は175ZBほどになるそうです。
175ZB?!
なかなかZ(ゼタ)という単位は見慣れないですが、キロ、メガ、ギガ、テラ、ペタ、エクサの次です。
10の21乗。
果てしない数ですね。
日本語だと、キロが千、メガが百万、ギガが十億、テラが一兆、ペタが千兆、エクサが百京、ゼタが十垓です。
一方で。
技術的進化が停滞しています。
ムーアの法則もそろそろ限界と言われて久しいですが、本当に横ばいです。
ムーアの法則(Moore’s law)とは、インテル創業者の一人であるゴードン・ムーアが、1965年に自らの論文上で唱えた「半導体の集積率は18か月で2倍になる」という半導体業界の経験則です。
『半導体の集積率が2倍=性能が2倍』と考えて大丈夫です。
半導体(トランジスタ)が2倍になるということは、処理能力が2倍になること。
同じ面積の集積回路上に2倍のトランジスタが実装できるということは、性能が同じでよければ、同じ面積で2倍の集積回路が作れることになり、コストは半分になるんです。
これがムーアの法則。
このムーアの法則に限界がくるってことは・・・コンピュータの性能限界がくる!ということです。
ここには2つの壁があります。
- 動作周波数の壁
- 電力消費の壁
ちょっと技術的な話をすると、
現在の半導体製造プロセスは10nm(1nm=10億分の1メートル)に移行しつつあり、ナノテクノロジーを用いた開発になっています。
これは、トランジスタのサイズが基本的な障壁となる原子サイズまで微細化されることを意味し、物理的な限界が近いと推定されています。
もはやこれ以上小さくできないよ状態なわけです。
いわゆる同じ性能のものが出来ない『歩留まりバラツキ問題』やリーク電流による『電気漏れちゃう問題』もあります。
さぁ困った!どうしよう・・・。
エレクトロニクスからフォトニクスへ
このムーアの法則を打破するためには・・・
- 新たな低消費エネルギー
- 高速信号処理技術の確立
が必須です。
現状は電気的な処理がなされています。
これでは性能限界があります。
そこで!
光ファイバから伝送装置、半導体まで、全てにフォトニクスベースの技術を導入。
その名もオールフォトニクスネットワーク
エレクトロニクスの世界からフォトニクスの世界へゲームチェンジしよう!
というのが提案です。
わたしが半導体を研究していた学生の頃(10年以上前)から言われていた3つのキーワード。
- 低消費電力
- 高品質・大容量
- 低遅延
この3つが電気の世界から光の世界にすることで実現出来(る可能性があり)ます。
未来のインターネットはどうなる?
今の技術。
AIやIoTが進展しています。
今後はどうなるか?
将来は五感通信などにより、自然な生活、行動が実現されます。
そのためには、4つの取組みが必要です。
- サービスをナチュラルへ
- パーソナル化を加速
- 情報処理を進化
- インフラを高度化
この中での技術的要素は・・・
- 人工知能
- 仮想現実・拡張現実
- ヒューマンマシンインターフェース
- アディティブマニュファクチュアリング
- バイオメディカル
- 情報処理基盤
- 量子コンピューティング
- 先端素材
- ネットワーク
- エネルギー
- セキュリティ
ここらへんが今後エンジニアとして必要なスキル。
これらが実現されるとどんな未来が待ってるか?
たとえば、臨場感のあるパーソナルスタジアムが出来ます。
- 非圧縮で高解像度な映像伝送
- 会場内の様々な音声をリアルタイムに再現
- 視覚や聴覚に加えて、触覚を同期再現
- デバイスのシンプル化
これって前回のNHK技研公開でも同じようなことを紹介されていました。
ご興味のある方はこちらの記事もどうぞ。
今後どんな人材が必要?
今後は、広範囲にわたる知識・見識が必要です。
- 社会科学
- 人文科学
- 自然科学
などなど。
もはや理系のワクを超えて、心理学なども必要な時代になってきましたね。
これからの令和時代を生き抜くのにかなりワクワクするご講演でした。
専門的知識を深掘りしつつ、これからも新たな知識も吸収していきたいと思います!
もしよろしければNHK技研公開の記事も御覧ください♪
コメント