「証券口座に、身に覚えのないログインや取引の通知が来た…」
見つけた瞬間はドキッとしますよね。この記事は証券口座を安全に使うための解説です。金融商品や、特定の証券会社を勧める記事ではありません。いまの状況に近いほうを選んでください。Aは身に覚えのない取引やログインがあるとき、Bは被害に遭う前に口座を守りたいときです。
- 身に覚えのない動きがあれば、証券会社の公式の窓口に、すぐ連絡します
- 窓口は公式アプリか、ブックマークした公式サイトから探します。届いたメールやSMSのリンクや番号は使いません
- 予防はブックマークや公式アプリから開くこと、多要素認証(パスキーなど)と通知を使うこと、GoogleとAppleのアカウントも守ることです
- 補償は必ず受けられるとは言えません。条件は証券会社ごとに違います
2026年11月7日に、金融庁、日本証券業協会、SMBC日興証券、楽天証券、SBI証券などの公式ページで確かめました。証券会社によって、設定の名前や操作が違います。最終確認は自分の証券会社の公式サイトでお願いします。
A 身に覚えのない動きがあるとき
まず、次の順番を見てください。連絡は後回しにしません。長い説明は、連絡したあとに読めば大丈夫です。

不審なサイン

どれかが当てはまり、自分の操作ではないときは、被害が疑われます。取引報告書は売買の内容を知らせる書類です。日本証券業協会は心当たりのない取引報告書が届いたら、取引のある証券会社にすぐ申し出るよう案内しています。
4つの順番
画面や通知は、消さずに残します。あとで証券会社や警察に説明するときに使います。
- 取引報告書、ログインや出金の通知
- 口座の取引履歴やログイン履歴の画面
- 届いたメールやSMS(削除しない)
- 連絡した日時と、話した内容のメモ
保存の方法を証券会社から指示されたら、従います。
金融庁は、不審な点があるときは、まず証券会社のお問い合わせ窓口に連絡するよう案内しています。

窓口は公式アプリか、自分でブックマークした公式サイトから探します。
届いたメールやSMSのリンクや番号は使いません。偽の窓口に誘導される詐欺があるからです。
この記事には証券会社の電話番号を載せていません。会社ごとに違い、変わることもあるためです。
証券会社の案内に従って、パスワードなどを変えます。同じパスワードをほかのサービスで使っているなら、そちらも変えます(パスワードの使い回しは危険?今すぐ見直したいアカウントと安全な管理方法)。
設定の名前や場所は、会社ごとに違います。公式ページに載っている名前の例です。
- SBI証券(よくある質問、日付の記載なし): ログイン通知メール、ログイン履歴、取引制限の設定、パスキー認証、ログインパスワードの無効設定(パスキーの設定が必要)、ログインの一時停止
- 楽天証券(「犯罪の手口と対策」、日付の記載なし): ログイン追加認証サービス、パスキー認証、パスワードと取引暗証番号の再設定
これは例で、おすすめではありません。自分の証券会社の公式サイトで、「セキュリティ」のページを探します。
GoogleやAppleのアカウントも確かめます。2026年10月から、証券会社が新しい注意を出しています。くわしくは、このあとの「パスキーにしても確かめたいこと」を見てください。
- 金融庁 金融サービス利用者相談室(金融庁のページで案内されている窓口): 0570-016811(IP電話からは03-5251-6811)。平日10:00〜17:00。通話は録音されます
- 警察: 最寄りの警察署、都道府県警察のサイバー犯罪相談窓口。警察相談専用電話は#9110です。受付は平日の日中で、都道府県ごとに時間が違います。ダイヤル回線や一部のIP電話からは使えません(政府広報)
- 情報セキュリティの相談: IPAの情報セキュリティ安心相談窓口。03-5978-7509、平日10:00〜17:00。土日祝日と年末年始は休みです
日本証券業協会は不審な取引に気づいたら、取引のある証券会社に確認して、警察にも相談するよう案内しています。
偽サイトに情報を入れてしまったかもしれないときは、フィッシングサイトに入力してしまったら?最初にすること|パスワード・カード・認証コード別も見てください。パソコンやスマホにウイルスが入った心当たりがあるときは、スマホがウイルスに感染したか確かめる方法|iPhoneとAndroidで分けて解説が役に立ちます。
補償は受けられるのか
お金が戻るかどうかは、いちばん気になるところです。分かっていることは、次のとおりです。
- 日本証券業協会は、大手の証券会社・ネット証券10社が、一定の補償を行う方針を申し合わせたと、2025年5月に発表しました
- 対象は2025年1月以降の、フィッシング詐欺などによる不正アクセスの被害です。第三者が、顧客の資産を使って売買した場合を指します
- SMBC日興証券、SBI証券、大和証券、野村證券、松井証券、マネックス証券、みずほ証券、三菱UFJ eスマート証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、楽天証券の10社が対象です
- 補償は被害の状況を調べたうえで、一人ひとり判断されます。ID・パスワードの管理を含む状況や、証券会社の注意喚起などの対策も考慮されます
- 条件や、請求の手続きは、各社が案内します
つまり、必ず補償されるとは言えません。ほかの会社の扱いはこの記事では確かめていません。自分の証券会社の公式サイトで確かめてください。

B 被害に遭う前に、口座を守る
乗っ取りの流れ
フィッシングは本物そっくりの偽サイトや偽の連絡で、IDやパスワードを入力させてだまし取る手口です。金融庁は次のような流れの被害を注意喚起しています。
- 実在の証券会社を装った偽サイトなどで、ログインIDやパスワードが盗まれる
- 盗んだ情報で、第三者が口座にログインして取引する
- 多くの場合、持っている株を売り、その代金で国内外の小型株などを買う
- 被害にあった口座には、買われた小型株などが残る

金融庁は、公表している売却・買付の金額は不正取引の総額で、利用者の実際の損失額とは一致しない、としています。ウイルスによる情報の盗難にも注意を呼びかけています。
3つの本人確認の違い

- パスワード: 自分で決めた文字を入れます。偽サイトに入れてしまうと、盗まれます
- 2段階認証(多要素認証): パスワードに加えて、もう1つ確かめる方法です。ただし、偽サイトでその確認まで入力させる手口が報じられています(日本経済新聞、2025年7月11日)
- パスキー: パスワードの代わりに、スマホのロック解除などでログインする方法です。金融庁はパスキー認証などを「フィッシングに耐性のある多要素認証」と呼んでいます
金融庁と日本証券業協会は、用意されているなら多要素認証を設定し、パスキーなどへの切り替えに協力するよう呼びかけています。
パスキーにしても確かめたいこと
パスキーは偽サイトに強い認証の方法です。パスキーをやめる必要はありません。ただ、2026年10月に、SMBC日興証券と楽天証券が、新しい注意を出しました。
- パスキーやパスワードを保存しているGoogleやAppleのアカウントを乗っ取られると、そのアカウントに保存されたパスキーなどで、証券口座にも不正アクセスされる可能性があります(SMBC日興証券、2026年10月6日・14日更新)
- 他社で、Googleアカウントなどのログイン情報が不正に取られ、証券口座への不正ログインや不正取引があった疑いのある事案が確認されています。フィッシングに遭っていなくても、被害を受けるおそれがあります(楽天証券、2026年10月14日)
- 証券会社のシステムへの侵入が原因ではなく、GoogleやAppleのアカウントへの不正アクセスが原因とされています(SMBC日興証券)

だから、守るのは証券会社だけではありません。次の3つが案内されています。
- GoogleとAppleのアカウントで、2段階認証をオンにする
- アカウントに登録した、使っていない端末やメールアドレスを確認して、削除する
- 身に覚えのないログインの承認要求は、承認しない

設定のしかたは、二段階認証とは?設定方法と認証アプリ・SMSの違い、注意点を解説にまとめています。パスキーの仕組みと、同期するパスキーのことは、パスキーとは?パスワードとの違いと初心者向けの設定方法・注意点を見てください。
楽天証券は「パスキーを再登録してください」といったSMSやメールは詐欺の可能性が高いと注意しています。パスキーの登録は証券会社の公式サイトか、公式アプリから行います(日本証券業協会)。
偽の連絡に気づく点

- 開く場所を決める: ブックマークした公式サイトか、公式アプリから開きます。見覚えのある送信者のメールやSMSでも、リンクは開きません(金融庁)。検索エンジンやSNSの広告から偽サイトに誘導される例も増えているとされています(マカフィー)
- 急かす文面を疑う: 「口座の取引を制限します」「強制ロスカットになります」といった、急がせたり不安をあおったりする文面が使われる例があります(cacco)。認証の設定の案内を装うメールも出ています(日本経済新聞)
- 変わった操作を求められたら従わない: ブラウザで、ふだん行わないキーボード操作(特にCtrl+Vなど)を求められても、実行しません(日本証券業協会)
迷ったら、リンクは開かずに、公式アプリで同じお知らせがあるかを確かめます。偽のSMSの見分け方は怪しいSMSが届いたら?開く前の確かめ方と、押してしまった後|宅配・銀行・カードにまとめています。
今日確かめるチェックリスト

- □ 証券会社はブックマークか公式アプリから開いている。メールやSMSのリンクからは開かない
- □ 多要素認証を設定した。用意されていれば、パスキーも(公式サイトか公式アプリから)
- □ ログイン、取引、出金の通知を、オンにした
- □ 最近のログイン履歴や取引報告書に、身に覚えのないものがない
- □ 証券口座のパスワードは長く、使い回していない
- □ GoogleとAppleのアカウントも、2段階認証をオンにして、見覚えのない端末がない
- □ OSを最新にして、ウイルス対策の機能を使っている
- □ 証券会社の窓口を、公式アプリで確かめて控えてある
全部できても、絶対に安全とは言えません。手口は変わっていきます。気づいたら早く動くための準備にしてください。
避けたい行動と代わりにやること

心当たりのない取引報告書が届いたら、すぐに申し出るよう案内されています(日本証券業協会)。放っておかずに、Aの順番へ進みます。
よくある質問
- 証券口座が乗っ取られたら、お金は戻ってきますか?
-
必ずとは言えません。大手10社は補償の方針を申し合わせていますが、一人ひとり判断されます。条件や手続きは、各社が案内します。
- 多要素認証やパスキーは、設定したほうがいいですか?
-
用意されているなら、設定します。金融庁も日本証券業協会も多要素認証やパスキーの利用を呼びかけています。ただ、設定しただけで安全とは言えません。GoogleやAppleのアカウントも一緒に守ります。
- ワンタイムパスワードを使っていれば、安全ですか?
-
それだけでは防げないことがあります。偽サイトで入力させ、すぐ本物のサイトに入る手口があると、日本経済新聞が報じています(2025年7月11日)。パスキーなどが使えるなら、切り替えを検討してください。
- 証券会社から「セキュリティ設定の案内」が届きました。本物ですか?
-
リンクは開かずに、公式アプリや、ブックマークした公式サイトで、同じお知らせがあるかを確かめます。楽天証券は、パスキーの再登録を求めるSMSやメールは、詐欺の可能性が高いとしています。
次に読む記事
この記事でできるようになったこと証券口座に身に覚えのない動きがあったときの順番と、乗っ取りを防ぐ確認項目が分かる
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- 個人情報を守る7つの対策|今日15分、スマホでできる設定を手順つきで基本の設定をそろえたいという人に
何から見直せばいいか迷ったら、最初に確認する10項目に戻れます。
参考
- 金融庁「インターネット取引サービスへの不正アクセス・不正取引にご注意ください」(最終更新:令和8年10月9日。2026年11月7日に確認)
- 日本証券業協会「不正アクセス等にご注意ください!」(2026年3月25日の表記。2026年11月7日に確認)
- 日本証券業協会「被害補償について」(2025年5月2日発表。2026年11月7日に確認)
- SMBC日興証券「お客さまへのお知らせ」(2026年10月6日、10月14日更新。2026年11月7日に確認)
- 楽天証券「【ご注意ください】不正ログインや不正取引などの被害に遭わないために」(2026年10月14日。2026年11月7日に確認)
- 楽天証券「犯罪の手口と対策」(更新日の記載なし。2026年11月7日に確認)
- SBI証券「不正なアクセスを防止するための対策を教えてください」(日付の記載なし。ログインパスワード無効設定の項に2026年7月10日の記載。2026年11月7日に確認)
- 日本経済新聞「証券口座乗っ取り、ワンタイムパスワードで防げず 有効な対策は」(2025年7月11日。2026年11月7日に確認。報道)
- マカフィー「証券口座の乗っ取り事件が増加している背景とセキュリティ対策について解説」(2026年4月20日。セキュリティ会社の解説記事。2026年11月7日に確認)
- cacco「証券口座乗っ取りの主な原因は4つ!最も多いフィッシング詐欺の手口と対策」(2026年6月3日。不正検知サービス会社の解説記事。2026年11月7日に確認)
- 政府広報「警察相談専用電話 #9110」(2013年の記事。2026年11月7日に確認)
- 警察庁「サイバー事案に関する相談窓口」(2026年11月7日に確認)
- IPA「情報セキュリティ安心相談窓口」(最終更新:2026年10月28日。2026年11月7日に確認)
